〒396-0211 長野県伊那市高遠町西高遠1696
皆様は「そば在来種」というものをご存じでしょうか?
正確には「ソバ在来品種」と言い、その地で昔から育てられていた固有のソバの種(しゅ)のことをいうのですが、収量が悪かったり、風に倒れやすかったり等といった短所があったため、品種改良がなされていきました。
ここ高遠にも、昔は在来種があったのですが、戦後すぐに食糧難を乗り切るために、県の指導で昭和19年に開発された収量の多い「信濃一号」という改良品種に切り替わっていきました。
私が公民館の主事をしていた2007年の年末、そば打ち講習会を企画した際、地元のお年寄りの皆さんから「昔のそばはもっと小粒で味が濃くておいしかった。」というお話を伺い、どうにか復活させることはできないものかと思い始めました。
2009年頃より高遠の在来種の種を探し始めましたが、切り替わったのは随分昔の話でどこに行っても残っていないと言われ、あきらめかけた2014年、長野県の野菜花き試験場の報告書に「高遠在来」の記載があることを発見し、その論文を書いた試験場の研究員に問い合わせました。
すると、たった20グラムですが標本が残っていることが分かり、2014年6月、伊那市議会議員や市の職員に同行してもらい、伊那市からの依頼という形で増殖をお願いに伺いました。
試験センターの担当研究員は「昔、そちらの住民の皆さんにご協力いただいて譲っていただいたものなので、それをお返ししその地域のために役立てることができるのであれば喜んで増殖の協力をさせていただきます。」とご快諾いただきました。
ただ、昔の種なので発芽しない可能性があると言われましたが、20g標本の内、その3分の1に当たる300粒を2014年の秋に播種してくださることとなり、そして、その内たった6粒だけが生育し42粒結実しました。
6粒→42粒→500gと増え、2年後には1kgまで増殖ができました。この在来品種の栽培を伊那市のプロジェクトをして取り組んでいただくように、試験場に同行いただいた伊那市議会議員にお願いしたところ、「ちょうど『信州そば発祥の地
伊那そば振興会』という伊那市のソバ施策について、ソバ関係者で話し合う会議体を立ち上げるので、その会議体の機能に在来品種の取り組みを組み込むことにする」とご決断いただき、プロジェクトの発足が決まりました。そして、2016年夏、試験場から増殖した1sの種の内300gを受け取り、元々この在来品種が栽培されていた長谷地区の山奥、平家落人伝説のある「浦」集落に種圃場(原原種圃場)を開梱し、本格的な栽培が始まりました。
その年の秋、始めて収穫した在来種の内、種子としては規格外であったもので試食会を行いましたが、非常に風味が強く、シナモンのような、黒糖のような、独特の香ばしい香りのする今まで食べたことのないようなおいしいそばで、試食に訪れた一同は興奮し大喜びしたことを思い出します。
2019年、令和元年。
この在来品種が栽培されている地は江戸時代には「入野谷郷」と呼ばれており、戸隠、川上と並ぶ「信州三大そば名産地」であったことから、この在来種は「入野谷在来」と命名され、伊那市の自家製粉ができるそば店で販売を開始することになりました。
是非皆様にもこの幻のソバ在来種をお召し上がりいただきたいと思います。
入野谷在来 復活の記録は→ こちら
入野谷在来(高遠在来)栽培記録は→ こちら
入野谷在来復活夢プロジェクト活動日誌は→ こちら
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