高遠発祥の将軍家献上品
元祖「寒晒し蕎麦」をお召し上がりください
流水により水溶性たんぱく質が抜けだすと言われています。
しかし、科学的な実験の結果ではタンパク質総量の溶出を認められておりません。
ただ、味に関係する遊離アミノ酸の組成が変化することや、ポリフェノールが
減少し、カルシウムや鉄が増加することはわかっており、それが雑味の抜ける原因
である可能性が示唆されていました。※進藤ら(2001)「寒晒し処理によるソバの成分変化」による
しかしながら、2024年山根らの研究により、たんぱく質は溶出しないこと、
そして、縮合型タンニンが溶出することが明らかとなりました。
縮合型タンニンは収斂性や苦味の物質である他、多く摂ると消化不良を起こす物質
としても知られています。江戸時代の本草書「本朝食鑑」には「寒晒蕎麦は尤も
中らない(下痢をしない)」とかかれてあり、今回の研究でそれを科学的に裏付け
たこととなりました。
2.甘みが増す
玄ソバが水分を吸うことで、玄ソバ中のαアミラーゼが活性化し、玄ソバのデンプンを
加水分解し、糖に変えます。
この作用は発芽の準備作業です。デンプンを糖に変えることで、発芽に必要なエネルギー
を作り出しています。
水中にある限り発芽に必要な酸素量が不足するため、発芽作用は始まりませんが、
水から引き揚げ寒風で乾かす際に、この発芽に向かって動き出します。
山根ら(2024)の研究では、寒晒によるデンプンの糖化は限定的で、遊離糖が増加するまでには至らないことが明らかになりました。ただし、でんぷんがより小さな分子にまで分解されている可能性を示唆しています。
デンプン質の形質が変化することにより、そのような変化が起こるものを思われますが、こちらについても科学的な解明はまだ不十分です。